『皮膚組織球腫』は良性腫瘍
生後5ヶ月令のワンちゃんの後肢に、このようなしこりが突然できました。
赤黒く、ドーム上に盛り上がり、なんだか悪そうに見えますが、
それこそが『組織球腫』と呼ばれる良性の腫瘍の特徴です。
組織球腫は3歳未満のワンちゃんに多く見られます。
こうした場合、次に行うのが確定診断のための細胞診です。
細胞診とは針を刺して細胞を採取し、
染色して顕微鏡で確認することで悪性か良性かを診断する方法です。
しかし腫瘍は数多くあるため、私では確定診断できない場合もあります。
そんな時には学者に見てもらい確定診断を行います。
さて、このワンちゃんのできものは・・・・
顕微鏡でこのような細胞が観察できました。
『組織球』です。
これは私でも確定診断できる腫瘍の一つです。
特徴的な概観と年齢、細胞診で『組織球腫』と診断できます。
この腫瘍に関しては無治療でOK
3ヶ月以内に自然に消滅してしまいます。
今まで外科切除が必要だったのは、ワンちゃんが気にして『カジカジ』なかなか治らなかった時だけです。
『組織球』は体の免疫細胞の一つです。
この他『悪性線維性組織球腫』と呼ばれる軟部組織肉腫(悪性)や
『悪性組織球症』(悪性)、
『全身性組織球症』(非腫瘍性)などがあり、
いずれも悪性の病態を示すため鑑別診断は確実に行わないといけません。
よかったね~『サスケ』ちゃん。
しばらく様子をみていてくださいな
「あらッ、不思議~」きっとなくなるから大丈夫です。
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