多発性骨髄腫『虎ちゃ~ん!!』

ルナ動物病院

2014年09月09日 12:24


いまや動物も癌は身近な存在となり、
獣医師の猫ちゃんといえどそれにもれることはありません。
虎次郎が多発性骨髄腫で先月末死亡いたしました。
猫パルボ、膀胱炎、胆管拡張、胆管肝炎・・・
多くの病気を乗り越えてくれたのですが、ついに癌に負けてしまったのです。

享年12歳。
献血で多くの猫ちゃんを救い、訪問活動で多くのご老人に笑顔をとどけてくれました。
野良から動物病院の猫ちゃんになり、彼が幸せだったかはわかりません。
しかし、私たちスタッフ一同は感謝するばかりです。
ありがとう
ありがとう
ありがとう

4月おわりに食欲が低下、血液異常、脾臓のマスがみられ、
脾臓バイオプシーで脾臓の形質細胞腫、骨髄バイオプシーで正形成髄と診断されたのでした。
血液異常は明らかに多発性骨髄腫を疑うため、
抗がん剤治療(メルファラン、プレドニゾロン、サリドマイド)&免疫治療(オゾン、高濃度ビタミンC、各種サプリ)にはいり、
一時がんは寛解したのですが、7月に入り再発、8月おわりに旅立ちました。
教科書どおりの死の転帰をたどったものの、スタッフには予後を伝えることが出来たため、おのおのお別れする時間をつくることができました。
それがせめてもの救いかな・・・

助けられなくてごめん。
そしてありがとう。
虎への感謝の気持ちばかりです。

剖検による組織病理検査結果
診断:多発性骨髄種
骨髄及び脾内には、形質細胞由来の腫瘍細胞が認められました。多発性に骨髄内に病巣を形成して進行する悪性腫瘍性病変である多発性骨髄腫と考えられ、造血能が高度に低下していたと考えられます。
骨髄:腫瘍細胞がびまん性にみられ、混在して脂肪細胞が認められます。小型の円形異型性核と好酸性細胞質を有す類円形腫瘍細胞で、腫大した核や2核の細胞など未分化な細胞も混在しています。他の造血細胞には乏しく、びまん性単調に増生しています。
脾:拡張した赤脾髄にびまん性に腫瘍増生巣が広がり、リンパ濾胞は不明瞭になっています。骨髄でみられたものと同様の腫瘍細胞がびまん性に増生しており、細胞質は形質細胞への分化の指標となるメチルグリーンピロニン染色で陽性に染色されています。
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