ルナ先生日記

浜松市中区佐藤にあるルナ動物病院 院長のブログです。 動物病院の先生は日頃こんなこと・あんなことを感じています。 ぜひおたのしみください。

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会陰ヘルニア

カテゴリー │消化器疾患

会陰ヘルニア
みなさん、
会陰ヘルニアという病気はご存知ですか?

皆さんがヘルニアと聞くと一番に想像するのが椎間板ヘルニアでしょうか?
椎間板ヘルニアは、背骨(椎骨)の間にある椎間板が脊柱管のなかに突出し、脊髄神経を圧迫した状態のことです。

動物をひっくりかえしおへその部分が盛り上がっていたらさいヘルニアです。
これは俗な言葉で『でべそ』、盛り上がりは腹腔内の脂肪で問題となりませんが、腸管が入り込み腸閉塞となってしまうと緊急手術しなくてはいけません。
会陰ヘルニアそけいヘルニアとは、皆さんご存知の言葉で『脱腸』のことをいいます。
人は垂直生活なので、股の付け根(そけい部)に穴が開いていると腸管が入り込み易いため脱腸といわれます。
小さな穴ならば腹腔の脂肪、よほど大きな穴になると腸管や子宮・膀胱が入り込みます。
会陰ヘルニア会陰ヘルニアは肛門の脇、会陰部の筋肉が薄くなり穴が開き、腹腔の脂肪や前立腺・膀胱などが入り込んだ状態です。
直腸が蛇行し便がつまってしまい、排便のたびにいきみとっても痛く苦しい病気です。
通常飼い主さんは『便秘症で痛がる』とか、『お尻の横が膨らんできた』とか言って来院されます。

今回、会陰ヘルニアの手術をしたワンちゃんの飼い主様が
一番悔やんでいたことは?
『なぜ予防できる病気なのに言ってくれなかったの?』ということ…
『年をとって、危険な手術を大枚はたいてしなくてはいけなくなるなんて…
去勢手術をしていれば発症しなかったかもしれないって、なんで?…去勢手術で病気が予防できることを知っていれば、やっていたかもしれないのに…』


このワンちゃんは、前立腺も肥大しのう胞形成していました。
こどものころ、ワクチン接種で通う時期に獣医さんは説明していたのかもしれません。
当院でも、飼い主様には何度も説明します。
『お尻周りの病気は男性ホルモンで発症することが多いので、去勢手術はマーキング予防の他にそうしたお尻の病気予防の効果がある…』とね。
もちろん健康体にメスをいれることへの拒絶感や麻酔のりスクがあるので、みんなが実施するわけではありません。
しかし、数あるヘルニアの中で唯一会陰ヘルニアは去勢手術で防ぐことができるかも?…という疾患なんです。
断尾していると、肛門周りの筋肉の発達が悪く会陰ヘルニアになりやすいようです。
メスのワンちゃんも発症する場合があるので去勢手術ですべて防げるわけでありませんが、
とくに去勢手術してない尾の短いワンちゃんはご注意ください。

会陰ヘルニアさて次は、会陰ヘルニアの手術についてです。
当院では、再発防止のため去勢手術も実施します。
それでも、再発することがあるので悩みが尽きない手術になります。
手術方法もいろいろありますが、これが一番という手術法がありません。
外科手術の先達者も、いまだに日々研究している手術なんです。
会陰ヘルニア私ごときでは再発も念頭に入れての手術になり、
患者様にもそのようにお伝えしています。
私が選択する方法は、からだの筋肉を利用して、できた穴をふさいでいきます。
再発した場合はインプラントを使用することになるでしょう。
このワンちゃんは、内閉鎖筋と浅でん筋を利用してあなをふさぎました。
会陰ヘルニア私の場合、これが一番やりやすく再発が少ないように感じます。
会陰ヘルニアは肛門の両側になってしまうこともあります。
今回は一般的に多い右側のヘルニアでしたが、もう片側への注意も必要です。

このワンちゃんは、手術翌日から順調に排便し痛みもなくなったようです。
大きくのう胞状になった前立腺も、去勢手術に反応し小さくなっていきました。
会陰ヘルニアの場合、痛みに我慢して生活していたり、浣腸などで維持しているとますますお尻周りの筋肉が薄くなり手術が難しくなります。
健康状態が問題なく手術できるのであれば、
発見したらなるべく早く手術したほうが再発もリスクも少なくなるでしょう。

そして大事なのが、『去勢手術は病気の予防ができる!!』ってことです。



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この記事へのコメント
あーさん
コメントありがとうございます。

文章から推察すると、かなりご自身を責められているご様子ですね。

ブログのワンちゃんの飼い主様も、悔やんでいたからこそ皆さんへの警告のため、自分のワンちゃんの病気について掲載することを認めていただきました。

最近ではペットを死亡させてしまった方が、ペットロスでかなり長期間精神的に落ち込むこと多くなりました。

私も昨年自身の愛犬ルナを病気で死なせてしまい、ペットロスにはなりませんでしたが長い間自分を責め続けました。

獣医師のくせに自分の犬も治せないのか~
そんなことで、他人の動物を治療できるのか~
何でもっと早く気づいてあげれなかったんや~
などなど・・・

大震災のことも重なり、半年くらい調子が出ませんでしたが、何とか最近前向き思考ができるようになってきました。

責めることは反省であり、次に生かさなければ残されたものの義務をまっとうできません。

病気でも、生活する上でも何事にもいえることです。
自身と動物、みなの幸せのために何ができるのか見つけ前進しましょう。
Posted by ルナ動物病院 at 2012年02月27日 18:05
うちの子は、会陰ヘルニアです。
去勢せず、飼い主の責任で病気にさせました。
春、片側、インプラントもう一方を筋肉をよせ手術。
再発し、暮れに違う方法で手術してもらいました。
うちの子の場合ヘルニアになる1年以上まえから、便通がよくない
便がほそいけどってことあるごとに病院にいってましたが、
(会陰ヘルニア)の会のひとこともなく、発病してからしったわけです。
後悔。後悔!ってなんなんですか???
くやまれるってなんなんですか?
毎週、獣医さんに通って薬等かえたりして、やれることやってるんですから・
仕事しないとたべていけないものですから、生活保護をうけて犬の世話をしとけばいいんですか?
責任、責任でちゃんとやってるつもりです。ちゃんと面倒みてるのにまだ不足なんですか??????
飼い主のせいでずーといわれづけられるんですか?一生!
Posted by あー at 2012年02月25日 12:04
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