ルナ先生日記

浜松市中区佐藤にあるルナ動物病院 院長のブログです。 動物病院の先生は日頃こんなこと・あんなことを感じています。 ぜひおたのしみください。

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M.ダックスの無菌性結節性脂肪織炎

カテゴリー │血液・免疫・内分泌疾患

今日、電話でこの病気のダックスさんからご相談がありました。
他の病院でこの病気だと診断され、現在治療中。
2ndオピニオンをもとめられました。
すべての犬種で起こりうる病気ですが、
ダックスの発症が多いので、
椎間板ヘルニアと同じように知っておいたほうが良い病気です。
詳しくは、当院ホームページの
コチラ
をごらんください。

この病気は、

原因がわからず、
治療は永遠と続き、
費用もかかり、
治療しなければ徐々に衰弱死してしまうため、
恐ろしい病気です。

避妊や去勢後の発病することが多いため、
比較的若い年齢のワンちゃんが発病してしまうことも問題となります。

手術で使われる縫合糸が原因である【縫合糸反応性肉芽腫】との関連もよく言われることです。
近年非常にこの病気が多くなっているため、
縫合糸を使わない(お腹を閉じるためには使わざるを得ませんが・・・)手術として、
リガシュアや超音波メスなどを持つ病院も多くなっているのです。
私も、ほしいですね。
どっかに落ちてませんか~?

縫合糸は肉芽腫や脂肪織炎のスイッチだといわれています。
使用した縫合糸を肉芽腫といっしょに取り除けばすっきり治るかといえば、
データーによると50%の反応しかありません。
スイッチがいったん入ると体の反応は止められなくなり、
手術しても半数はその後もこの病気に苦しめられるのです。
セルスタート(縫合糸で反応)したエンジン(免疫応答)は、
セルモーター(縫合糸)を取り除いても、
ガソリン(命)が尽きるまでかかりっぱなし(反応し続ける)なのです。
恐ろしいですね。

そのため治療方針も臨機応変に、
ステロイドを使用してしこりを小さくしてから手術を行ったり、
明らかにしこりがなくなれば様子をみたり、
ステロイドだけでだめなら他の免疫抑制剤(私はシクロスポリンを好みますが、費用が問題ならば他の薬を選択)などを併用したり、
ホント治療には四苦八苦するのです。

本日電話があった方にもその点を正直にお話しました。
大切なことは、
獣医さんとコミュニケーションをしっかりとり、
ワンちゃんにとって一番いい方法を選択していくことなんでしょう。
治療方針、この薬は、これで合っているのでしょうか?
本日の飼い主さんも悩まれていました。
悩んで当たり前なので、どんどん獣医さんに質問をぶつければいいのです。
獣医さんも飼い主さんの熱意に応えるべく毎日勉強し進歩するのです。

以前も書きましたが、獣医さんにも能力差があるのはあたりまえです。
私が知らない知識、できない治療を行える病院もいっぱいあります。
それを正直に伝え、飼い主さんに選択していただくことが大事です。

今日はうれしいニュースもありました。
9歳のコーギーが突然の肝障害。
内科治療で安定したものの、アンモニア・胆汁酸の数値が下がりません。
門脈シャントを疑い、精査のため半田市のなりた犬猫病院を紹介しました。
私が知る限り、東海エリアで一番症例をこなし、実力もあり、費用も妥当な病院だと考えられます。
結果、シャントであることがCTで診断され、即手術。
手術は成功し、本日退院との連絡を受けたのです。
ホント、良かったです。

自分で手術できないのだから仕方がありませんが、
いつもこうした時には、
獣医能力で負けた~感が付きまといます。
こうしたいい腕の先生方は、
負けないために日々努力しているのです。
こうしたことがあるたびに、
私も他の先生に負けない部分をつくり、
努力し、
伸ばしていく誓いを立てるのです。



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この記事へのコメント
COACHでし。さん

コメントありがとうございました。

ポイントはたまってないので、
しほちゃんのホームページをみますね。
Posted by ルナ動物病院ルナ動物病院 at 2009年10月27日 11:24
どもぉ~(^^ゞ

記事とは無関係なコメントですいません。

はまぞうポイントで『命を救うお手伝い』が
出来るそうです。

拡張型心筋症の小学1年生の女の子の「心臓移植費用」
として、はまぞうポイントが募金できるのですよぉ

受付が今月末までになっているので、もし良かったら
ご協力のほどを…

詳しくはあちきのブログを参照ください。
Posted by COACHでし。 at 2009年10月27日 04:56
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M.ダックスの無菌性結節性脂肪織炎
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