ルナ先生日記

浜松市中区佐藤にあるルナ動物病院 院長のブログです。 動物病院の先生は日頃こんなこと・あんなことを感じています。 ぜひおたのしみください。

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『癌との戦い』がんばれねこちゃん!!

カテゴリー │がん・腫瘍

4週間前、1週間近く食べていないとのことで来院したねこちゃんがいます。
それが初診でした。
比較的肉付きがいい猫ちゃんですが、すさまじい黄疸になっています。
太った猫ちゃんがしばらく食事をとることができないと、脂肪肝になってしまいます。
脂肪肝は栄養カテーテルを付け、強制的に食事を与えても、なかなか治らない難しい病気です。
脂肪肝かなぁ~。
と、検査を開始。
高ビリルビン血漿、肝障害はもちろん、腹腔内に腫瘤を発見、
子宮蓄膿症にもなっていることが超音波でわかりました。
エコーガイドでの細胞診では診断がつきませんでした。
以上の検査結果をふまえ、
手術が必要であり、バイオプシー検査をしないと詳しく予後までは話すことできないし、
猫ちゃんはかなり難しい状態であることを説明しました。

飼い主さんは若い男性です。
費用が余りかけられないけれど、出来るだけの事をしてあげたいと治療を希望されました。
卵巣子宮切除、腫瘤のバイオプシー、肝臓のバイオプシーを実施しました。

術中の細胞診断でリンパ腫を疑い、
病理検査で肝臓もマス病変も『悪性リンパ腫』という結果でした。
リンパ腫の中でも、LGLリンパ腫という抗がん剤が効きにくいタイプです。
といってもリンパ腫は、腫瘍の中でも比較的抗がん剤で押さえ込むことができる腫瘍です。
患者さんには、今後癌とのつきあいになり、予後はあまり芳しいものではないこともお伝えしました。
何もしなければ、食欲すら回復することなく死が待っているでしょう。
患者さんは抗がん剤での治療を選択しました。
手術直後は栄養チューブからの強制給仕、点滴治療。
体力が回復したころ、リンパ腫の病理検査結果が出たので、さっそく抗がん剤の治療に入りました。
そして抗がん剤の治療にも耐え、黄疸もなくなり、
最近では自らしっかり食事を取れるまでに回復してきたのです。
そうこう喜んでいた矢先、手術部が割け腹壁ヘルニアになってしまいました。
ガ~ン!!
癌性の悪疫質と抗がん剤による癒合不全が原因なのでしょう。
治療の成果がやっと出てきたのに、なんと言うことでしょう。
昨夜緊急手術。
無事終了し、今日は飼い主さんと帰宅できました。

これからも癌との戦いが待ち受け、若い飼い主さんには治療費が大変ですが
飼い主さんともども頑張ってほしい。
少しでも快適に、一日でも長い時間を飼い主さんと過ごすことができるように、
お手伝いできることを願っています。

しかし、このように頑張る若者と対照的に、治療を放棄する患者さんがいることも事実です。
治療を放棄せざるを得ない理由は、患者さんの数だけあります。
経済的な理由がある場合もあります。
家庭の事情があるかもしれません。
当院で治療しても改善しないため転院したり、あきらめてしまうこともあるでしょう。
どんな状況でも、
どうか動物が苦しんでいることを放置しおかないでください。
と願うばかりです。



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