ルナ先生日記

浜松市中区佐藤にあるルナ動物病院 院長のブログです。 動物病院の先生は日頃こんなこと・あんなことを感じています。 ぜひおたのしみください。

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半導体レーザーは優しい治療

カテゴリー │当院の秘密兵器がん・腫瘍

半導体レーザーは優しい治療
半導体レーザー
最近は使用している病院も増えています。
手術室では切開や止血で大活躍なんですが、最近は手術室以外で『できもの』の蒸散で使用することが多くなりました。
蒸散というのは、レーザーの高熱で焼ききってしまうことです。
当然『できもの』には、良性腫瘍も悪性腫瘍もあります。
と~っても小さなできものでも、肥満細胞腫、メラノーマ、扁平上皮癌・・・などの悪性腫瘍ならば、大きく切除しないと命を助けることが出来ない場合もあります。
そのため獣医師は『できもの』を診たとき、針による細胞診→外科切除→病理検査をおすすめします。
しかし、高齢であったり、心臓病などの持病を持っていたり、費用的に難しく外科手術が選択できないことなどよくあります。
どうしましょう?
悪くなさそうだから、様子見ましょうね~
悪そうだけど、手術できないから仕方ないね~

そんな場合、患者様も獣医師もホント、悩みに悩むのです。
出来ることが他になく、指をくわえて見ているだけなんて、つらいですよね~
そこで、レーザー登場~
悪すぎてぐちゃぐちゃになった症例もありますが、
今日ご紹介するのは上手くいった症例です。

ありすイボ私の愛犬アリスちゃん、11歳のプードルの手にイボがあります。
トリマー泣かせのこのようなイボが身体中にあるプードルちゃん、あるあるですね。
多くが皮脂腺腫です。
トリマーさんは小さいうちに見つけ、レーザー蒸散をおすすめしましょう。
小さいうちであればあるほど、ワンちゃんの負担は軽くなります。
アリスいぼとり見た目悪くなさそうだから(あくまで経験で、はずれることもあります)、
レーザーでちょちょちょいって焼きますが麻酔も必要ありません。
そのとき悪性ならば再発することをお話し、
再発時の病理検査は強くおすすめします。

うちのアリスちゃん、処置前はイボを気にして舐めてばかりいました。
蒸散後は黒く炭化して痛々しく見えますが、ほとんど気にせず舐めることもありません。
痛くないってことなんでしょう。
これぞ、痛みの神経をシーリングできるレーザーパワーですね。


肛門マス13歳のラブラドールですが、足腰が弱くなりやっと歩ける状態です。
肛門の脇に大きなできものがあります。
手術に耐えれるかどうか・・・と言われ、飼い主様は困り果てていました。
良性の肛門周囲腺腫?悪性の肥満細胞腫?何者?
セオリーは針生検、ツルーカットで病理診断して手術でしょう・・・が、
肛門ます1飼い主様は全身麻酔の外科処置に迷っています。
手術後歩いて自宅に帰れるかどうか、歩行困難にならないかどうか・・・・
細胞診で肥満細胞腫を否定して・・・
そこで、レーザー登場~
肛門ます2外に飛び出している腫瘍ではないので、腫瘍の中にレーザーを挿入して内側から少しずつ焼いていきます。
敏感な肛門周囲に関わらず腫瘍内に痛みはないので麻酔は必要なく、
週1回のレーザーで3週目には皮膚のただれのみで治療修了。

このワンちゃんも、エリザベスカラーなしで治癒しました。
処置前はただれて出血していたのに、傷を気にしなくなるんですね~
レーザーって、すごいですね~


ねこわきます次は21歳の高齢猫ちゃんです。
体の横のできものがだんだん大きくなり、かきむしるので出血します。
高齢すぎて手術してもらえず、飼い主様も悩んでいました。
そこで、レーザー登場~
ねこわきます1できものは、体から飛び出している部分と皮膚の下に根っこがあります。
飛び出した部分はレーザーで切除します。
切除した腫瘍は、飼い主様の希望があれば病理検査で確定診断します。
(今回は、高齢なのでたとえ悪性でも抗がん剤はしないということでパス。)
今回も、週1回通っていただきレーザー照射。
ねこわきます22回目には、表面はかさぶたになりましたがまだ根っこ部分が残っています。
かさぶたはそのままで、出血もありません。
切除前にはさんざん気にしていたのに、切除後には気にもしないそうです。
それだけでもやってよかったと、飼い主様に喜んでいただきました。
でも、猫ちゃんにはもう少しがんばっていただきます。
ねこわきます3根っこの部分を、レーザー挿入し少しづつ焼いていくのです。
このあたりから、猫ちゃんがだんだん嫌がり始めました。
よほど暴れるなら局所麻酔が必要でしたが、
この猫ちゃんもおとなしい~イヤイヤ~程度で治まりました。
あと数回がんばれば、根っこもなくなるでしょう。
ねこわきます5ねこわきます4ねこわきます63週目にぐちゃっとしたときもありましたが、4週目にはごらんのとおり。
合計3回のレーザー処置で根っこもなくなり、一応の治癒としました。

いかがでしょう?
手術してこの猫ちゃんは良かった?
費用も1回数千円のレベルですむし・・・
猫ちゃんも、飼い主様にも優しい治療です。


つめよこます最後に、かなり心臓の悪い13歳のワンちゃんです。
手術して、指を取るべき?
腫瘍だけ切除して縫合できるかな~
麻酔できるかな~
そこで、レーザー登場~
つめよこます1つめよこます2つめよこます3つめよこます4つめよこます5
ぼこっと飛び出た部分をまず切除。
根っこの部分を少しずつ蒸散。
麻酔なし、ネッカーなし、痛みなし。
3回のレーザーで、4週目に治癒としました。


この症例、重度の心臓病でなければ、全身麻酔をかけて外科切除したかもしれません。
でも、爪のわきで皮膚が足りない部分を切除して、これほど綺麗に縫合できたか自信がありません。
レーザーで正解ってことでしょう。
レーザーって、すごいな~


この治療の決め手は動物の性格です。
腫瘍と正常組織ぎりぎりの場所は、レーザーの熱さでほとんどの動物が嫌がります。
よほど嫌がるなら、局所麻酔や全身麻酔が必要になるでしょう。
しかし、穏やかな性格ならば局所麻酔も必要ないことがほとんどです。
たとえば目に出来る良性腫瘍のマイボーム腺腫。
以前は全身麻酔下で切除手術していました。
最近では、ほんの小さいうちに点眼麻酔だけでレーザー蒸散しています。
売り上げは10分の1くらいになってしまいますが、動物に優しいし、飼い主様の懐にも優しい治療です。


繰り返しますが、出来ないことも多くあります。
レーザーで蒸散しきれず、外科手術が必要なこともあります。
大切なのは、動物、飼い主さまと納得いくまで話し合い、
相談しながら治療方針を決めることでしょう。





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