ルナ先生日記

気管虚脱という病気はご存知ですか？
気管は口から肺まで空気を通す管で、円形に保たれなくてはいけません。
それが、変形してしまいぺッタンコになってしまう病気が気管虚脱です。小型犬によく発生します。
症状は、ガーガーアヒルが鳴くような、持続的な咳です。
内科治療でコントロールできない症例は、手術適応になります。
内科療法は、気管支拡張剤、抗生剤、抗炎症剤、ネブライザーです。
手術は大きく分けて２つがあります。（手術は特殊であり、実施している病院はほとんど有りません。）
①気管の内側に、内視鏡を使ってインプラントする方法。
②気管の外側からじゃばら状のものを縫いつけ、管状構造を保たせる方法。

当院ではほとんどが内科療法に反応し咳が出なくなってしまうので、手術した症例がありませんでした。
しかし、気管虚脱は慢性疾患なので、いつ何時悪化して呼吸不全になるかわかりません。
その危険は、いつもあるのです。

当院の患者様で、今回外科手術に踏み切った患者様がいらっしゃいました。

もちろん、当院で行えない手術です。
患者様自ら、ネットで外科手術を行っている病院を見つけ出したうえで、私にその手術法について相談にきました。
当然、私がやったこともなく見たこともない手術なので、インプラントも含め色々調べ上げました。
その結果、飼い主様が見つけ出した先生は気管虚脱の手術症例数では一番であり、実績も伴っていたのです。
手術をお勧めし、結果は大成功、現在は投薬なしで元気でいます。

患者様は東京にワンちゃんとともに２週間泊まりこみ手術を受けました。
「なかなかできるもんじゃない」
と思います。

また、この手術をしてくれた東京にあるアトム動物病院の米澤先生の対応も
「なかなかできるもんじゃない」
と感じ入りました。

手術前の相談も、手術後の経過観察もわざわざメールや電話で私にしていただき、詳しい写真付の報告書も郵送でいただきました。
お忙しい診療のなか患者様だけでなく、主治医の私にまでコレほど詳しく報告していただいたのです。
すばらしい。
わたしもそんな獣医師になりたいものです。

気管虚脱で悩んでいる方は、ぜひご相談下さい。
私もいままで気管虚脱の外科については消極的であったのですが、今回の症例の結果を見ると積極的にお勧めできるようになりました。